ed.そしてジャイロスコープは巡り合う
オールマイトが雄英の教師として赴任してくるらしい、という噂は、まだ公にはなっていないものの、職員の間ではほとんど確定に近い形で囁かれていた。 ―――そんなまさかね。でも万が一、いや億が一、雄英に赴任してきたら、死ぬ間際まで自慢しますよね。…
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36.観測者たちと星は巡る
通り抜けていった秋を惜しむ間も無く冬が来た。日毎早くなる日没は、太陽から寄り道しないで早く帰りなさいと言われているようだった。 あっという間に一年は終わりに向かい、忘年会シーズン到来だ。今年も間もなく終わりを迎える。去年の今頃は消太さんと…
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35.おねがい、お星様。*
興奮は、伝播する。消太さんから発せられる発情は、わたしの耳から、唇から、皮膚から伝わってきて、わたしの内側をどんどんと熱くしていく。同じようにわたしの発情は消太さんへと伝わり、互いに興奮にあてられながら果てのないどこかへと上り詰めていく。…
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34.秋夜のしじまに耳澄ませる
星と星との距離は、地球から見れば指でなぞれるくらいとても近いのに、本当はとても離れている。人の一生を何回繰り返しても辿りつかないくらい、途方もない距離だ。 消太さんとの距離を、少しずつ縮める日々。それは地球から見たら動いたかどうかなんて分…
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33.その先へ、いつまでも
一体いつまで夏は続くのだろうか。もしやこのまま永遠に暑いまま、夏は終わらないのではないか。容赦なく照りつける太陽に肌がじりじりと灼ける日々が続き、ふと心配に駆られたこともあったが、気がついた時には日が暮れるのが早くなっていて、吹き抜ける風…
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32.夏の夜は星座を刻みつけて*
冷たいベッドシーツに横たわったわたしの意識は相変わらずふわふわと宙に浮いているようで、覆い被さるように馬乗りになっている消太さんを見ていても、今日もかっこいいなあ。くらいにしか思わなかった。まさかこのあと、宣言通り“身体で教えられる”だな…
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31.ベガは眠らない
意識が浮上する。重たい瞼を開けば、薄明るく見慣れない天井が見えた。寝返りを打つとカーテン越しに部屋に差す太陽の光に照らされながらこちらを向いて寝ている相澤先生の寝顔が見えるのに、加えて相澤先生の側にある手が緩い力で握られていることに気づい…
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30.アンタレスはかく語る
隣ですやすやと寝息を立てる彼女の姿を見下ろして、相澤はわずかに口角を上げる。いつも一人で寝ているベッドに今日は二人が並んでいる。それはなんだか不思議な光景だった。シングルベッドに二人なんて狭くて仕方ないのに、悪くはないと言ったところだ。隣…
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29.決戦の金曜日 いざ決戦*
それからわたしは相澤先生に抱っこされて、ベッドに丁寧に横たえられた。冷たいシーツがわたしを包み込む。寝室は初めて入ったけど、さすがに家では寝袋じゃなくてベッドで寝るんだな……なんて場違いなことを頭の隅で思ったりもした。 今からするであろう…
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28.決戦の金曜日 アップ開始
相澤先生がお風呂から上がるのを、ソファに座って今か今かと待ちわびる。先日ここでいい雰囲気になったが、腹の虫がそれを台無しにしたことは記憶に新しい。あのときのことを思い出して、色々と恥ずかしい気持ちになるが、同時にあの時の相澤先生の表情や、…
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27.決戦の金曜日 準備運動
校舎から出ると、競い合うような蝉とひぐらしの鳴き声と、賑やかに談笑しながら下校する生徒たちの声に包まれた。見上げた空はまだ明るくて、夏を感じる帰り道だ。 もうすぐ夏休みに突入するので、夏服の制服姿の生徒たちの姿や楽しそうな声がなくなってし…
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26.決戦の金曜日 前哨戦
もう夕方だというのに、校舎を出た瞬間むせ返るような熱気がわたしたちの身体を包んだ。毎年思うが、夏ってこんなに暑いんだっけ? 8月になったらもっと暑いんだっけ? 暑さが過ぎ去るのはいつだっけ? そんなことを思う7月の中旬。 隣を歩く相澤先生…
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