25.夏が来る前に
相澤先生の顔がゆっくり近づいてきて、そしてキスが一度、二度、三度と角度を変えて降り注ぐ。わたしの思考がどんどんと溶けていき、ただただ相澤先生だけを感じて体が熱くなっていく。 そして相澤先生の手がわたしのブラウスのボタンに触れたその時だった…
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24.接近する
二度目の相澤先生のお家。お邪魔します、というわたしの言葉に、相澤先生は、はい、いらっしゃい。と返す。何気ないやりとりだけど、相澤先生の律儀さを感じる瞬間でもある。 相澤先生の家は相変わらず小ざっぱりしていて、綺麗に片付いていた。リビングに…
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23.ふたご座が見えても
わたしたちの住む街の駅を使って数駅行けば、商業ビルが立ち並ぶ大きな駅に辿り着く。わたしたちはそこで買い物をすることになった。 休日の電車内はそこまで混んでおらず、ありがたいことに隣同士で座ることができた。電車の中で隣同士座りながら、買い物…
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22.初夏の訪れと
春はあっという間に過ぎ去って、気づけば初夏と言われる季節になっていた。新緑が眩しい今日このごろのトピックスと言えば、相澤先生は一クラス全員を除籍処分にしたなんていうこともあった。わたしは教師ではない、ただの学校事務だ。だから深くは聞かない…
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21.レグルスに着地
シトシトと降り注ぐ春の雨を一身に受けながら、足元に泥水が跳ねるのもお構いなしにわたしたちは走っていた。 わたしたちが雨の中を走り抜ける足音ばかりが聞こえてくる。まさかラーメン食べたあとに走るとは思わなかった。なんだか面白くて、わたしは笑い…
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20.木星を告げる雨
家に帰ったわたしは、突如決まった初めてのデート(仮)のため、ここらへんの飲食店で評判がいいところを血眼で探していた。相澤先生は普段固形物を口にしないので、嫌いな食べ物はおろか好きな食べ物すらわからない。付き合いも浅いので仕方のないことだが…
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19.春の大三角形が見てる
ふわふわと空を飛んでいるような心地がずっと続いていた。気が付けばニヤニヤとしていて、何度も何度も先ほどの出来事を思い返していた。相澤先生は、わたしのことが好きだと言ってくれた。俺だけ見てろって言ってくれた。まさかの逆転ホームランに、わたし…
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18.キスインザムーンライン
今日は満月で、月の明かりが夜を暖かく包んでいる。わたしは自転車を置いておくことにして、相澤先生と二人で夜の道を歩いている。相澤先生は何も喋らないし、わたしも何も喋らない。沈黙が非常に気まずい。どうして相澤先生は送っていくなんて言ったんだろ…
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17.引力をなぞる
最終的に地獄絵図となったマイクとミッドナイトとの飲み会から数日。4月に入り、学校内の桜のつぼみが膨らみ出して、いよいよ春の気配を感じさせる。風の匂いも、冬のツンとした匂いから、春の緑を感じさせるものへと変わった。新しい顔ぶれが生徒たちも、…
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16.観測者たちは騒がしい2
いつまでも続くと思われた冬の寒い気候も、徐々に和らぎを見せ始めた。もう少しすれば綺麗な桜が咲き誇り、ある者の門出を、ある者の始まりをそっと見守るのだろう。そんなことを思いながらも、年度末に向けて駆け足で進む日々を、ただただ慌ただしく過ごし…
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15.閑話 観測者とアンタレス
マフラーに顔半分をすっぽりと隠し、気だるげに背中を丸めたイレイザーヘッドこと相澤がやってきた。居酒屋の前で待っていたプレゼント・マイクこと山田はニッと笑みを浮かべてそんな相澤を 片手を挙げて迎える。「ヨォ、イレイザー。休みんとこワリ…
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14.観測者は考察する
泣いた、とにかく泣いた。こんなに泣いたのはいつぶりだろうか、というくらい気がつけば涙が溢れて、浅い眠りを繰り返して朝を迎えると、目はパンパンに腫れていた。鏡に映った自分の別人のような顔を見た時に、思わず笑ってしまった。失恋をして泣くなんて…
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