AOT_私の恋人紹介します。

好奇心と手紙と嫉妬

ほんのり「STAY WITH MESTAY WITH ME」の続編 太陽は沈み、兵舎を照らすのは壁に備えられた燭台で揺らめく仄かな蝋燭の灯りと、手に持った燭台の灯りのみだ。ハンジは手元の灯りを頼りに廊下を慣れた足取りで進み、行き先であるの部…

BEAUTIFUL DREAMER

 芸術作品の中には、“欠けているからなお美しい”。そんなものもあると聞いたことがある。その時は、特に感想も抱かなかったが、今になって身に沁みて分かった気がした。 ハンジは片目を失った。命は無事だが、今は視力を失ってしまった片目に眼帯を巻いて…

重ねて 1

 巨人の捕獲をするために必要な要素は幾つかあるが、その中でも連携はかなり大事だ。方々から連鎖するように巨人を攻撃し、自立不能状態まで持っていき、そして捕獲を試みる。言葉にしてみれば簡単だが、実際は容易ではない。班内でどの様に動けばいいのかを…

贈り物を君に

「モブリットさん、今日飲みに行きませんか」 実験棟から兵舎へと戻る道すがら、突然のわたしのお誘いに、モブリットさんは一瞬考えるも、「いいぞ」 と頷いた。明日はわたしもモブリットさんも非番の日だから、今日は絶対に飲みに誘おうと決めていた。そし…

風吹けば紙吹雪

 昼ご飯を食べ終えて残りの昼休憩を兵舎や食堂が建ち並ぶ通りを歩いていたら、突如下から、まるで意思を持った生き物のように風が吹き上げる。の髪が舞い、そして砂が目に入り反射的に目を瞑る。涙がぶわっと溢れて、目を擦り、開ければ涙とともに砂は出てい…

幸せは続いていく

本作品については、原作の第132話「自由の翼」以降最終話までのネタバレを含むものです。また、原作を改変したストーリーとなっています。「おかえりなさいとただいま」の続きです。ハンジさんとの子どもがいるため、苦手な方はご注意ください……!登場は…

レンタル兵士 序

「……辞令が出て、今日から期間限定でリヴァイ班に命ずるって」「わ、わたしがですか!?」 上官であるハンジの執務室に呼び出され、開口一番に告げられる。リヴァイ班は精鋭集団で、そのメンバーはリヴァイが直接声をかけて編成をしている。チームワークが…

おかえりなさいとただいま

本作品については、原作の第132話「自由の翼」以降最終話までのネタバレを含むものです。また、原作を改変したストーリーとなっています。 いつその番がやってくるのだろうと、ずっと考えてきた。そしてついにその番がやってきたのだと思った。迷いや葛藤…

エレンと一緒 後編

 エレンと一緒に夕飯作りをしていると、匂いにつられて次々と特別作戦班の面々がやってきた。やってくる人みんなに、ハンジさんと一緒じゃないことを不思議がられるものだから、困ったものだ。そんなにいつも一緒にいるように見えるのだろうか、そういうわけ…

エレンと一緒 前編

 特別作戦班に護られているエレンは、名目上は監視と言うことになっている。今日は馬の世話をしているようだった。その近くでオルオが草むしりをしている。わたしはと言うと、次回壁外調査についてリヴァイ兵長に渡すべき資料があるとのことで、配達に古城へ…

Hello,MadScientist

 ハンジ・ゾエという名前は、調査兵団内だけに留まらずかなり有名な名前だ。奇人変人の集まりと言われる調査兵団の中でも、群を抜いていると言っても過言ではない。とはいえ、はまだハンジを見かけたことは一度もない。厳密に言えば見たことはあるのかもしれ…

STAY WITH ME

 調査兵団の資金は税金で賄われているが、勿論潤沢とは言えない。少しずつ巨人への調査を積み重ねて地道な一歩を積み重ねているも、成果と言う成果が上げられていないのが現状だ。すると、申請した予算もなかなか通らず、年々減らされていく一方だ。そうなる…