◆ホークアイ
きっと君は、(原作沿い連載)
01.物語の始まりは砂漠にて
なぜだろう。起きたら見渡す限り砂漠にいた。昨日は確かに、おうちで寝たはずのに。時間は分からないが、太陽の昇っている場所から察するに、朝方だろうか。朝でも砂漠は照りつける太陽の暑さと熱を含んだ砂粒のせいで、かなりの暑さだった。「……どうしよ…
02.親分と子分とデュラン
「ジャドの町にビーストキングダムの獣人たちが攻めてきて、港はもう封鎖されちまった。おかげで船は、全部欠航さ。もうどこへもいけやしねえ!」「これから俺たちどうすればいいんだか……」 ビーストキングダム? 獣人? 船から降りて、港を歩いていると…
03.それぞれの事情と
「で、デュラン、あんたはどこへ向かう途中なんだ?」「ああ、俺はな――」 デュランは草原の国フォルセナに住む雇われ傭兵で、フォルセナで年に一度開催される武術大会にて見事優勝したのだが、その夜現れた“紅蓮の魔導師”と言う魔法を操る男に敗れてしま…
04.終焉のアストリア
「あっ! 可愛い!!」 黄色のもふもふとした、しいていえばうさぎに似たような動物が一匹、月明かりに照らされた大地ですやすや寝ていた。が駆け寄ろうとしたその時、デュランに手を取られた。「おっおい、あれも人を襲うんだぞ!」「え!? そうなんです…
05.聖都へ
念のため手分けしてアストリア中で生存者を確認したが、誰ひとりいなかった。死人も見当たらなかったということは、きっとどこかで生きてはいるはずだ。そう信じるほかない。様々な気持ちを押し殺して、滝の洞窟まで急いだ。道中は非常に重苦しく、ジャドの…
06.絡み合う7
光の司祭はシャルロットを見るなりやはり怒った。シャルロットは反射的に隣にいたの手をとり、耐えるようにぎゅっと握った。シャルロットはしょんぼりと「ごめんなちゃい」と謝るが、すぐに大事なことを思い出す。「でも!! ヒースが! ヒースがああ!!…
07.世界はいつだって残酷で
残されたものたちは、顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。「誰が悪いわけじゃないんだけどなあ」「うん。でもリースの気持ち、わからなくもないけどね」 デュランが気まずそうに頭をかき、も頷きつつ言った。今頃二人は何を話しているんだろう。そう考えると…
08.背負った運命を並べて
最後にシャルロットはローラントの説明をしてくれた。ファ・ザード大陸北東部の山岳地帯にある風の王国ローラント。周囲は崖で、自然の要塞に守られているのと、更にアマゾネス軍が国の守りを固めているため難攻不落と名高い王国であった。 しかし、ナバー…
09.ここから始まる旅立ち
皆で息を合わせてフルメタルハガーを倒すと、ウィル・オ・ウィプスがフルメタルハガーの中から現れた。火の玉のような可愛らしい精霊だ。「おかげさんでやっと封印が解かれました! 事情はさっきみなさんが戦っている間にフェアリーさんからテレパシーで聞…
10.草原の王国へ
自由都市マイアは草原の王国フォルセナと同じ大陸にある都市で、港があることから物流の拠点であった。フォルセナはリチャード王の治める国で、デュランの生国だ。リチャード王はその戦果から英雄王と呼ばれていて、フェアリー曰く、きっとマナストーンにつ…
11.故郷への道をゆく
草原の王国フォルセナは高い山々に囲まれた国であるため、向かうのは少し骨が折れるルートだ。マイアを出て黄金の街道を抜け、山を貫く大地の裂け目を抜けるとモールベアの高原に出る、モールベアの高原を進むとやがてフォルセナに辿り着く。言葉にすると簡…
12.紅蓮との再会は
明け方、なんだか遠くが騒がしくて皆起きる。嫌な予感がする。まだ薄暗いが朝の気配が漂う空を、武装したものたちがフォルセナ方面へ飛んでいく。「あれは……アルテナの兵だわ!」 アンジェラが、今まで見たことのないような真面目な顔で言うのだった。ア…
13.土の精霊ノーム
大地の裂け目では英雄王の言う通り、ドワーフのすみかがあった。簡単に見つからぬように細工がしてあり、それをフェアリーとウィル・オ・ウィプスが協力して見つけてくれた。 ドワーフたちにノームのことを尋ねれば、丁度ワッツと言う男がノームを探しにい…
14.風の王国ローラント
漁港パロは山岳を切り開いて街を形成していて、港を中心として扇状に段々と標高が高くなっていた。見上げればローラント王国を抱くように峰を連ねている高くて岩肌の目立つ山々が天を突き刺さんばかりに聳えている。 城塞都市ジャドがビーストキングダムの…
15.ちびっこハンマー
昼前にはバイゼルに辿り着いた。前回訪れたときはすぐに港に行ってしまったため、ほとんど街の様子は見ていない。たちは宿屋をとったあとに、二手に分かれてちびっこハンマーについて聞き込みを行い、昼になったら収穫のあるなしに関わらず港に面したカフェ…
16.賢者の手のひらの上
翌日、目星をつけた怪しげな像の周辺を、コロボックルたちと目線を合わせるため小人になり捜索することにした。 昨夜実験で、小人から普通のサイズに戻るための条件として、もう一度叩くことのほかに、時間の経過とともに自然に元のサイズに戻ることが分か…
17.祈り、力となれ
ローラントのお膝元である漁港パロに着いた頃には、海の彼方に夕日が沈むところだった。一刻も早くアジトに戻りたいところではあるが、日が暮れてからあのローラントの険しい山岳を登るのは、誰が考えても得策ではない。ナバール兵の目があるのが気がかりで…
18.風が運ぶ
(よし、いくぞ、いくぞ!! わたしはできる!!) 二度も魔法を唱えられたという高揚感をそのままに、ロッドに祈りを注ぎ込む。するとロッドが淡く光を放ち始める。そしてロッドを振りかざし、あのときの感覚を思い出しながらツェンカーに向けてロッドを振…
19.君が一生懸命な理由
その日はローラント城でささやかな祝杯があげられた。ローラントではまだまだやることが山積みだが、今日くらいはすべて忘れて国を取り戻した喜びに酔いしれたいということで、皆でどんちゃん騒ぎを起こして、泥のように眠った。 翌日、じいやアマゾネスた…
20.幽霊船クルージング
は甲板で風当たっていたホークアイを見つけると、隣に赴いた。ホークアイと話したいことがたくさんあった。「ホークアイ」「お、。デュランから聞いたぜ、魔法使えたんだって?」「えーデュランったら言っちゃったの? 驚かせたかったのに」「ははっ。初め…
21.火山島ブッカ脱出大作戦
留守番というのは初めてで、することのないこの幽霊船の中で時間を持て余していた。かといって、ついていってもやれることはない。せっかく魔法を覚えたというのに、今の自分は身体が透けてふわふわと空間を漂うただの幽霊だ。しかしまさか自分が幽霊になる…
