短編

完敗ラバー

 今日もアレックスさん、かっこいい。再確認、大好き。ウェンデルの秘宝に勤め始めて、もうどれくらい経つんだろう。勤務し始めた日=アレックスさんに恋してからの日数だからずいぶん長い片思いだなぁ、って思う。この気持ちが報われる可能性、どれくらいな…

暖かい手、冷たい手

 窓から見える外の様子は、とても気持ちよさそうだった。太陽が降り注ぎ、お昼時のジオの学生達が楽しそうに、嬉しそうに、サイフを片手に歩いている。その様子を、はぼやーっと眺めて、わたしも混ざりたいなあ。と思ったが、すぐにその考えを頭から取り払っ…

好きって言ってしまえば

「、ほら、かしな」 無口で、クールで、きりっとしていて、一見怖い印象を与える、珠魅の、ラピスラズリの騎士である瑠璃くんは、ほんとうはとっても優しくて、わたしはその優しさについ甘えてしまっている。大好きで、大切な人を失ったわたしの心に入り込む…

ほら、こんなに簡単

 瑠璃くんはかっこいい。それに、優しい。ちょっとぶっきらぼうだけど、そこに隠れた優しさがわたしの心を捉えて、そして離さない。いわゆるぞっこん状態だった。「、重いだろ」「あ、だいじょ―――ありがとう」 わたしの持った荷物をちらと見てたずねた瑠…

最後まで、伝えられなかったこと

「前から気になってたんだけど、この石像って誰なのかしら?」 煌きの都市の入り口には、一つの石像が置いてある。誰も、何もその石像について知らない。ただひとり、瑠璃をのぞいては。 ある日真珠が、瑠璃に問いかけた。別に真珠は瑠璃がこの石像について…

耳まで真っ赤。

 風の噂。当人から聞いたわけじゃないけど、いろんな人から聞く風の噂。その噂は本当かどうか、わたしは興味があった。「瑠璃くん」「ん?」 わたしたちは、魔法都市ジオに遊びに来ていた。ジオといったら、魔法学園とかクリスティーヌさんの宮殿とかが有名…

上手く伝わったかはわからないけれど。

「女の子は情熱的な告白が好きなんだよ」「そうなのか?」「もっちろん! 崖の上とか、凄い遠いところから大声で『好きだー!』とか言われたら、私キュンキュンだなぁ」 楽しそうに、そして嬉しそうに笑うエメロードの話を、熱心に聴いている瑠璃。「ありが…

後悔はしたくない

「ルーベンスさん、ちゃんのこと狙ってるらしいね」 日差しうららかな春の日。気候同様のどかだった俺の心に、稲妻が奔った。エメロード曰く、のことを、ルーベンスが狙っているとの旨。どういうことだ……? 俺は心がかき乱された。こんなことは珍しかった…

そんな恥かしいこと言えるか!

※現パロ風「愛してるよ」「私も……このままずっと、こうしてたい」「俺もさ。お前がいれば、もう何もいらないんだ」 テレビの奥で繰り広げられる、ゲロ甘ラブストーリーを、はソファの上でひざ小僧を抱えながら見ていた。そしてその隣には瑠璃がバツの悪そ…