聖剣伝説3_きっと君は

09.ここから始まる旅立ち

 皆で息を合わせてフルメタルハガーを倒すと、ウィル・オ・ウィプスがフルメタルハガーの中から現れた。火の玉のような可愛らしい精霊だ。「おかげさんでやっと封印が解かれました! 事情はさっきみなさんが戦っている間にフェアリーさんからテレパシーで聞…

08.背負った運命を並べて

 最後にシャルロットはローラントの説明をしてくれた。ファ・ザード大陸北東部の山岳地帯にある風の王国ローラント。周囲は崖で、自然の要塞に守られているのと、更にアマゾネス軍が国の守りを固めているため難攻不落と名高い王国であった。 しかし、ナバー…

07.世界はいつだって残酷で

 残されたものたちは、顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。「誰が悪いわけじゃないんだけどなあ」「うん。でもリースの気持ち、わからなくもないけどね」 デュランが気まずそうに頭をかき、も頷きつつ言った。今頃二人は何を話しているんだろう。そう考えると…

06.絡み合う7

 光の司祭はシャルロットを見るなりやはり怒った。シャルロットは反射的に隣にいたの手をとり、耐えるようにぎゅっと握った。シャルロットはしょんぼりと「ごめんなちゃい」と謝るが、すぐに大事なことを思い出す。「でも!! ヒースが! ヒースがああ!!…

05.聖都へ

 念のため手分けしてアストリア中で生存者を確認したが、誰ひとりいなかった。死人も見当たらなかったということは、きっとどこかで生きてはいるはずだ。そう信じるほかない。様々な気持ちを押し殺して、滝の洞窟まで急いだ。道中は非常に重苦しく、ジャドの…

04.終焉のアストリア

「あっ! 可愛い!!」 黄色のもふもふとした、しいていえばうさぎに似たような動物が一匹、月明かりに照らされた大地ですやすや寝ていた。が駆け寄ろうとしたその時、デュランに手を取られた。「おっおい、あれも人を襲うんだぞ!」「え!? そうなんです…

03.それぞれの事情と

「で、デュラン、あんたはどこへ向かう途中なんだ?」「ああ、俺はな――」 デュランは草原の国フォルセナに住む雇われ傭兵で、フォルセナで年に一度開催される武術大会にて見事優勝したのだが、その夜現れた“紅蓮の魔導師”と言う魔法を操る男に敗れてしま…

02.親分と子分とデュラン

「ジャドの町にビーストキングダムの獣人たちが攻めてきて、港はもう封鎖されちまった。おかげで船は、全部欠航さ。もうどこへもいけやしねえ!」「これから俺たちどうすればいいんだか……」 ビーストキングダム? 獣人? 船から降りて、港を歩いていると…

01.物語の始まりは砂漠にて

 なぜだろう。起きたら見渡す限り砂漠にいた。昨日は確かに、おうちで寝たはずのに。時間は分からないが、太陽の昇っている場所から察するに、朝方だろうか。朝でも砂漠は照りつける太陽の暑さと熱を含んだ砂粒のせいで、かなりの暑さだった。「……どうしよ…