jojo_長編1部

13.月とひまわり

 ジョナサンさまを待っている間、手持ち無沙汰なわたしたちはジョースター邸のお庭にあるベンチに座って会話をぽつぽつと交わしました。「、君はいつからジョジョのことが好きなんだ?」「うーん、いつからでしょう。気が付いたときには……」 一応記憶をた…

12.月を見るひまわり

「これは驚いた」 突然の深夜の来訪者。誰かと思えばだった。なんだってそんなに暗い顔をしているのだろうか。「こんばんは……」 は暗い顔をそのままに挨拶をした。「どうしたんだ? まあ、とりあえず入って」 招き入れると、は暗い顔のまま俺の部屋へ入…

11.再生と崩壊

 ディオさまの部屋から帰り、掃除を終えて束の間の休憩の時間。自室にいるとノックされました。はい、と返事をし扉を開けると、ジョナサンさまでした。まさかの来訪に、わたしは思わず息を呑みました。「」「ジョナサンさま。どうかなさいましたか?」「やっ…

10.冷たい月と優しい太陽

 ジョナサンさまと距離があいてしまった気がしてから、わたしはそれはそれは気分の上がらない日々が続きました。あのことを話してくれない以外、ジョナサンさまとわたしの間は別段普通でした。会えば挨拶もするし、お話もします。けれどわたし自身が距離を感…

09.交錯する思惑

 その日は唐突にやってきました。ジョナサンさまがボロボロになって帰ってきたのです。心の奥底がざわつきました。なぜジョナサンさまがこんなひどい目に……? ジョナサンさまは、ジョースターさまには知らせないでほしい、とのことなので、ひとまずわたし…

08.午後のティータイム

 ああ、神様、慈愛の女神様。こんなわたしを許してくださいませ。 ジョナサンさまがこの上なく好きです。ですが、ディオさまに何をお返ししようか考えるのが楽しいのです。決して、ディオさま好きなわけではないですが、わくわくしてしまうわたしをどうかお…

07.お花畑ワルツ

 ぼくはその言葉を聞いたとき、ひどく面食らった。だって吃驚したんだ。とディオが街へ行ったなんて。二人はそんなに親密な仲だったとは、ぼくは思いもよらなかった。なんというか、恥ずかしい限りだけれどと一番親しいのはぼくと思っていたから。そして、ぼ…

06.まだ芽は出ず

 そういうわけで、わたしは今、ディオさまと一緒に街へ出ています。街にやってきたのなんていつ振りでしょうか。まして誰かと一緒に来るなんて、初めてに等しいです。たまの休日に、一人でうろちょろするくらいですので、もちろんジョナサンさまとも来たこと…

05.曇りのち晴れ予報

「ただいま」 花壇にしゃがみ込んでお庭の手入れをしていましたら、ディオさまの声が頭上から聞こえてきました。顔を上げればやっぱりディオさまで、ジョナサンさまはいらっしゃらないようです。 わたしは立ち上がって、頭を下げます。「おかえりなさいませ…

04.ひまわりの恋

 ディオがやってきてから、ぼくの生活は一変した。それまで自分の暮らしが、特別とても幸せだ! と感じる機会はなかったが(勿論、恵まれているとは思っているよ)、失ってから気づくものというのがあるらしい。それまでのぼくの暮らしは、明らかに幸せであ…

03.月との秘め事

「おはよう」「おはようございます、ジョナサンさま」 朝廊下ですれ違いざまに、ジョナサンさまに挨拶をされました。わたしは立ち止まり、頭を下げて挨拶をします。頭を上げると、ジョナサンさまの後ろからディオさまがやってきていました。昨日の出来事が思…

02.気づかれた気持ち

 その日のディオさま歓迎パーティは滞りなく終了しました。 ディオさまは人当たりがよく、よく気が利くのでわたしたち使用人は一様に嬉しがりました。正直みんな、ディオさまがどんな人か心配でした。気難しい人でしたらどうしよう、と。ジョースターさまも…