jojo_長編1部

25.巡り巡る運命

 痛い沈黙がジョースター邸を包んだ。ジョナサンは警官から手錠を手渡してもらい、観念したように両手を差し出したディオを見据えた。誰もがジョナサンが手錠をかける瞬間を固唾をのんで見守っていた。「ジョジョ……人間ってのは能力に限界があるなあ」 何…

23.嘘か真か

 それから数日が経ち、朝日が昇る前にジョナサンが帰還した。ねむっているときに自室をノックをされ、誰かと思ったらジョナサンで、寝ぼけ半分だったはすぐに覚醒した。ジョナサンは、金髪を無造作に伸ばし帽子を目深にかぶった男性と、小柄な東洋人の老人と…

23.太陽と月について

 ディオは一体何を考えているのだろう。そしてジョナサンはロンドンへ何をしに行ったのだろう。先ほどから答えのない疑問を延々と繰り返し考えている。は先ほどの戸締りチェックの続きをして、自室に戻り一人で深く考え込んでいた。本当ならディオに直接聞き…

22.恐ろしい考え

 ジョナサンとだけが知る秘密。それは、このジョースター邸にある“石仮面”の秘密。「考古学が金になるのかい? とディオに言われたことがある。彼らしい一言だ」 ジョナサンの部屋で二人は机に向かって座っていて、机上にある石仮面をじっと見つめたまま…

21.過去を思う

 市街地を駆けずり回って探すが、なかなかは見つからなかった。のよくいく店を一店一店見て回ったのだが、そのどこにもいなかった。時間が経過するにつれて焦りと不安が増えていく。不意によぎる最悪な結末を無理やり追い払う。(、どこにいるんだ……?) …

20.七年経っても太陽は昇る

「切り裂きジャックですよね、気を付けます」「ああ、そうだ。くれぐれも気を付けるんだよ」「はい、わかってます」 は心配そうに眉毛を下げる執事長に対して、にこっと微笑み頷いてみせた。 切り裂きジャック――ロンドンの街で、夜な夜な人目のつかないよ…

19.振り向かないよ

 わたしたちの取り巻く環境は、ディオさまがやってきてから瞬く間に姿を変えていきました。 ジョナサンさまの紳士の修行が厳しくなり、ジョナサンさまが恋をし、わたしが事実上失恋をし、ダニーが亡くなり、そして―――ジョナサンさまが失恋なさいました。…

18.さようなら親愛なる

「ディィィィイイィィィオオオオォォォオオオオォオォオオ!!!!!!」 ジョナサンさまが怒りのままディオさまの獣の咆哮かのように名を呼び、ディオさまに殴りかかっています。「君が!! 泣くまで!! 殴るのをやめない!!」 ジョナサンさまがディオ…

17.ひまわりは月を見るか

 ジョナサンさまとも、ディオさまとも(一方的に)気まずいまま一日が過ぎました。その日の夜、眠りにつく前にわたしは慈愛の女神様にこう誓いました。明日こそは、何事もなかったかのように、いつものに戻ります、と。 それにしても今日は本当はジョナサン…

16.しあわせの裏の

 仕事をしていてもジョナサンさまのことばかりを考えてしまいます。いってしまえばディオさまの言っていたことなんてわたしにとってはジョナサンさまの次なのです。どうでもいいわけではないのですが、二番目なんです。ですので先ほど言われた言葉の咀嚼なん…

15.ひまわりの苦悩

 さまざまな、本当にさまざまな感情が昨日のわたしの中にありました。それをひとつひとつ思い出そうとすると、心がずきりと、真新しい傷のように、痛みます。 ジョナサンさまに、好きな方ができました。あの時はそう、鈍器で思いっきり殴られたような衝撃で…

14.始まりだした終わり

「ぼくは部屋に戻っている。じゃあな」 ディオさまが配慮して帰ってくださいました。わたしは頷いて、立ち上がります。 ジョナサンさまはまだわたしたちに気付いていません。駆け寄ると、ジョナサンさまはわたしに気付いて、大きく手を振ってくださいました…